おさえておきたい基礎知識

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《化学物質のいろは》第14弾 ビスフェノール類

2024/12/02

世界の化学物質の使用状況において、実に25%を占めている繊維関連製品の生産。昨年9月より開始した本コラム・《化学物質のいろは》では、SDGsの目標の1つでもある「12 つくる責任、つかう責任」を担う繊維産業・関連産業に携わるすべての方に、少しでもお役に立てるよう、化学物質に関する基礎知識と最新情報をお届けします。

図1 繊維産業チェーン概念図

第14弾でも、前弾同様に弊センターで試験を実施した際に検出頻度が高い化学物質の中から「ビスフェノール類」をご紹介いたします。
ビスフェノール類は主にプラスチック製品の原料や添加剤などに使用されており、人体に影響があるとされています。代表的な物質はビスフェノールA (BPA)ですが、「BPAフリー」という言葉があるように、代替物質が使用されるようになってきました。しかし、それらの代替物質にも人体に影響があるとの報告がされており、BPAだけでなくビスフェノールB (BPB)やビスフェノールS (BPS)も規制化が進んでいます。

主なビスフェノール類

物質名ビスフェノールAビスフェノールBビスフェノールSビスフェノールFビスフェノールAF
略称BPABPBBPSBPFBPAF
CAS番号80-05-777-40-780-09-1620-92-81478-61-1
ビスフェノールS (BPS) 構造式

図2 ビスフェノールS (BPS) 構造式

ビスフェノール類の主な使用例

樹脂製容器、おもちゃ、自動車部品、建築資材、医療用品……など、幅広く使用されています。
また、繊維関連ではポリカーボネート樹脂・エポキシ樹脂の原料、ポリ塩化ビニル樹脂・フェノール樹脂の安定剤、その他の樹脂の酸化防止剤、ナイロン用フィックス剤の原料などに使用されています。

ビスフェノール類 試験方法 / 検出事例

サンプルを有機溶剤で抽出後、分析装置 (GC-MSやLC-MS等)を用いて定量します。
検出頻度が高い事例:ナイロン用フィックス剤からBPSが高頻度で検出

ビスフェノール類の有害性

内分泌かく乱作用、循環器系疾患、生殖毒性 など

エコテックス®規格での規制

▶スタンダード100

 Annex 46:BPA 製品クラスⅠ~Ⅳ 100 mg/kg、BPB,BPS 製品クラスⅠ~Ⅳ 1,000 mg/kg

レザースタンダード:BPA 製品クラスⅠ~Ⅳ 100 mg/kg、BPB 製品クラス Ⅰ~Ⅳ 1,000 mg/kg

エコパスポート
 希釈薬剤、非希釈薬剤:BPA 100 mg/kg、BPB,BPS 1,000 mg/k

ビスフェノール類における各国の主な規制

▶日本:食品衛生法、ST基準(BPA規制)

▶欧州:REACH SVHC(BPA,BPS,BPB規制)

▶米国:カリフォルニア州法プロポジション65 (BPA,BPS規制)

ニッセンケン化学試験事業部からの一言アドバイス

エコテックス®において、2025年よりビスフェノール類の規制物質の追加 (BPF及びBPAF) や規制値の厳格化が予定されています。エコテックス®認証を取得することで、さまざまな規格や法律に対応できるようになります。今後もご注目ください!

【有害化学物質に関するお問い合わせ先】
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 化学試験事業部
E-mail : oeko-tex@nissenken.or.jp

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