オミクロン株の出現など、依然として新型コロナウイルス感染症の終息が見えない状況が続いています。
ご存じの通り、日本では昨年11月に「第5波」が終わったとされ、比較的安定した状況が続いていました。しかし今月に入り、従来の感染規模を超える「第6波」が押し寄せ、社会生活継続への不安が日々増しています。
このような状況下ニッセンケン・バイオケミカルグループは、衣食住に関わる様々な製品の抗菌・抗ウイルス試験を通じて、安全・安心な日常生活を支えるためのさらなる力になることができればと考えています。
本稿では、コロナ禍が始まって以降の抗菌・抗ウイルス製品の動向をお伝えするとともに、バイオケミカルグループが提供する試験対応について改めてお知らせします。
■抗菌・抗ウイルス製品の市場動向
株式会社富士経済が2020年11月に発表した「抗ウイルス素材の国内市場の調査結果」(PRESS RELEASE第20116号)では、新型コロナ感染症発生後の大きな市場変化について触れています。抗ウイルス素材を使用した製品の国内市場は、2019年に2,257億円だったものが2020年には3,375億円となり1年間で約1.5倍に増えています。
またリサーチステーション合同会社の「抗菌繊維の世界市場:抗菌剤別、用途別2026年予測」では、抗菌繊維の世界市場規模として2021年の107億ドルから2026年までには147億ドルまで増えると予測しています。
これら以外にも様々な調査がありますが、ほぼ共通しているのは、世界的なコロナ禍によって抗菌・抗ウイルス機能を持つ素材・製品への注目が確実に高まっていることです。とりわけ生活空間での感染リスクを抑えたいという共通心理が抗ウイルス製品のニーズにつながり、さらに全般的な衛生への欲求が強まることで抗菌機能も重視される傾向にあると言えます。
■認証制度への期待に応えるエビデンス確保の重要性
そのようなニーズが高まる中、抗菌・抗ウイルス効果の根拠となる「認証制度」に対する消費者の期待が大きいことは容易に想像できます。
一方で消費者庁は2021年2月「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品等の表示に関する改善要請及び一般消費者等への注意喚起について」と題するリリースを発信し、景品表示法(優良誤認)の観点から問題があるとみた45事業者の42商品・役務に対し改善要請を行いました。
製品の信頼性確保の観点から、消費者の“この製品は本当に抗菌・抗ウイルス機能があるの?”という疑問に対して、企業はエビデンスで応えていくべきだと言えます。
■様々な製品分野に応用される抗菌・抗ウイルス機能
繊維製品の分野では「SEK」(一般社団法人繊維評価技術協議会)、そして
生活分野全般を広くカバーするものとして「SIAA」(一般社団法人抗菌製品技術協議会)がよく知られています。
SIAAは広い意味での【素材】を対象としており、製品分野を挙げるときりがありません。例えばキッチンまわりやサニタリーを含めた住宅建材、家電・IT機器、文具から、電車の手すりや映画館のシートまで、人が触れるもの、人が集まるところで活躍しています。
抗菌性及び抗ウイルス性機能を持つ製品に付与できる各マークを紹介します。
SEKマーク 抗菌機能
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抗菌防臭加工
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制菌加工 (一般用途)
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制菌加工 (※特定用途)
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SIAAマーク 抗菌機能
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抗菌加工
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※特定用途は、医療機関、介護施設等が必要と認めて指定する業務用の繊維製品を対象として付与されます
SEKマーク 抗ウイルス機能 |
抗ウイルス加工 |
SIAAマーク 抗ウイルス機能 |
抗ウイルス加工 |
また先般、抗菌製品技術協議会はBtoB、BtoC両方の用途でSIAAマークのPR動画を公開しました。
「機能加工とはなにか」、また「対象製品はどのようなものか」がイメージしやすい内容となっています。
■ニッセンケンが行う抗菌・抗ウイルス試験が認証取得申請のエビデンスとなります
SEK及びSIAA認証を取得するためには、当該製品の抗菌・抗ウイルス等の機能性を証明する試験データを各協議会に提出しなければなりません。ニッセンケンはこれらの試験を行う指定試験機関となっており、下記規格に基づく試験証明書が、申請時に必要なデータとして有効です。
| 対象 | 規格番号 | 試験名称 |
1 | 細菌 | JIS L1902 | 繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果 |
2 | ウイルス | JIS L1922 | 繊維製品の抗ウイルス性試験方法 |
3 | 細菌 | JIS Z2801 | 抗菌加工製品― 抗菌性試験方法・抗菌効果 |
4 | ウイルス | ISO 21702 | Measurement of antiviral activity on plastics and other non-porous surfaces |
なお試験依頼者の要望に応じて、規格を応用した創作試験も行っています。各試験規格に定められた条件よりも厳しい環境下にしたり、逆に緩やかにしたりなど対応できます。
(※創作試験の結果は、SEK及びSIAA認証取得のためのデータとしては利用できません)
また、お問い合わせの多い2種類の抗菌試験の内容について下表で分かりやすく紹介します。
| JIS L 1902=SEK認証取得申請時 | JIS Z 2801=SIAA認証取得申請時 |
適用範囲 | 繊維製品 | プラスチック/金属などの非多孔質 表面 |
試験菌種 | 例)黄色ぶどう球菌 肺炎かん菌 MRSA *取得するマークの基準に従い選択します。 | 黄色ぶどう球菌 大腸菌 |
培養時間 | 18~24時間 | 24時間 |
培養温度 | 37℃ | 35℃ |
菌液の接種 | 0.2mLをしみ込ませる | 0.4mLを表面にのせ、フィルムで均一に広げる |
ニッセンケンの抗菌試験はISO/IEC17025に適合し、産業標準化法試験事業者登録制度(JNLA)に基づく認定を受けており、信頼性が極めて高い試験データを提供しています。
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産業標準化法試験事業者登録制度(JNLA)について
■信頼の製品を市場に供給するためにニッセンケンがサポートします
SEK及びSIAAでは抗菌・抗ウイルスの
機能性の面だけではなく、その機能性を付与する
加工剤の安全性についても注視しています。さらに、それらの機能性を商品で謳う場合、
景品表示法等に抵触しないよう表示についても細かく指定しています。
これら認証取得について、トータルでサポートをできるのがニッセンケンです。
認証取得にあたっての疑問や本稿へのご質問等ございましたら、ぜひ
こちらよりお問い合わせください。お待ちしています。