2015/01/30
No. 33 「製品プリントにもいろいろな手法があります…」
思いつきラボ
2019/01/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2019年1月30日時点の内容です。
繊維の業界でもセミナーや展示会などは活発に行われているのですが、筆者も関係のある講義に参加することも多くあります。先日、機能繊維に関するお話しで興味深い繊維を知ったので、今回の思いつきラボはその話になります。
繊維に化学的な加工を施して本来は持ってない機能を持たせたものを機能素材と呼ぶのですが、代表的なものは防水・吸水・吸湿・抗菌・UVカットなど、身近になったものも多くあります。今回知ったのは商品を外に干しているだけでシミが消えるというものなのです。紫外線には殺菌効果や防臭効果があることは知られていますが、シミを消す自浄繊維というものなのです。
筆者が知らなかっただけで、2016年にオーストラリア メルボルンにあるロイヤルメルボルン工科大学(RMIT大学:Royal Melbourne Institute of Technology University)が技術開発したもので、繊維を特殊な溶液に浸して微小な銅(Cu)と銀(Ag)の粒子でコーティングしたとあります。
これに光をあてると粒子が活性化し、漂白剤のように作用して有機物が分解されることが確認されたとありました。この方法で加工した繊維は、もちろん家庭洗濯可能で 15回の洗濯後も効果は持続し、シミが落ちたことも実証試験で確認できたそうです。
もともと銅や銀には抗菌作用があることは知られていましたが、加工によって漂白作用が働くというのは新鮮なものに感じました。自浄加工の研究は他の国でもされているようですが、この研究チームのものはシミが消えるまで 40分くらいで可能ということで、時間的に短くて済むというメリットは大きいと考えられます。銀繊維はいま話題のスマートテキスタイルに導電性繊維としての機能が評価されて、使用が増えています。銅についても、日本の硬貨には アルミニウム 100%で作られている1円玉以外はすべてに銅が使われています。銅を使用するのは流通過程で雑菌の拡散を防ぐためでもあると言われています。
話がそれたついでに日本の硬貨の金属材質を記載しておきます。
1円玉 アルミニウム 100%
5円玉 銅 60~70%
(黄銅) 亜鉛 40~30%
10円玉 銅 95%
(青銅) 亜鉛 4 ~3%
錫(すず) 1~2%
50円玉 銅 75%
銅) ニッケル 25%
100円玉 銅 75%
(白銅) ニッケル 25%
500円玉 銅 72%
(ニッケル黄銅) 亜鉛 20%
ニッケル 8%
引用 日本銀行ホームページより
1円玉以外は銅が用いられています。アルミニウムは銅や銀ほどの殺菌効果はありませんが、食品に使われるアルミ箔や菓子袋のアルミ蒸着袋などに使用されているように、衛生的な金属といえます。
日用品で使う繊維は通常洗濯で問題ありませんが、ほとんど洗濯をしない劇場の緞帳(どんちょう)や遮光カーテンなどにはもってこいかもしれません。実験ではコーヒーのシミについて記載があったの、水溶性のシミということになりますので、油性系の汚れには効果はないと思われます。水溶性の汚れは家庭の水洗い洗濯で、油性の汚れはドライクリーニング屋さんに持ち込むのがやはり汚れ落としの基本です。面白い機能繊維はまだまだあります。繊維の開発はずっと継続されているのです・・・。
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防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
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