思いつきラボ

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No. 121 「織物を数える単位の“疋(ひき)”ってなにそれ…」

2018/09/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2018年9月30日時点の内容です。

先日、繊維業界のセミナーの後に筆者世代や若い世代も混ざって情報交換会のような雑談を交わしていた時の会話ですが、よくある良い時代の回顧的自慢話になって…

ベテラン
「昔は業界が悪くなったと言いながらもひとつの品番で3,000m ~ 5000m くらいの注文はたくさんあったよな~」

筆者
「そうだな~ 昭和50年代はまだ国産需要が多かったから、生産担当だったころは編機 30台くらい管理してたものだった。もっと回してた先輩もいたから当時は多いとは思ってなかったけど、月に 3000反くらい編んでた頃もあったな~。」

ベテラン
「オレは薄地織物担当で輸出も多かったから 4000疋くらいはコンスタントに作ってたな。今思えばちょっとした自慢話になるね。」

若手
「すいません 4000疋ってなんなのですか?」

ベテラン
「生地の巻量が 50mなので疋って単位なんだ。匹とも書く連中もいるけど…」

若手
「疋や匹なんて見たこともないですよ…反物のことですよね。」

筆者
「確かに合繊織物担当でも“疋”を使うひとが少なくなった気がするね。反物は普通だけど疋物(ひきもの)は聞くことがないな~昔からだけど。巻物は反物と呼んでた。ジョーゼットの反物 50疋…みたいな感じ。」

若手
「なんか気になります。疋について教えてください。」

ベテラン
「オレは化合繊の織物の業界しかしらないけど、疋しか使わないけどな…」

…という会話から今回の思いつきラボは“反”と“疋”のお話しになります。

当時の教え

筆者たちが繊維業界に入った昭和 50年(1975年)の教えでは、合繊部隊は 1反は 23mくらいのもので、1疋は倍の 46mくらいなので、30m巻は反の単位で、50m巻のものは疋という単位を使うと習いました。
一方和装業界では、着物用の反物は 1反が 11m ~ 12mくらいのもので、1疋は2反分の長さのもので疋物と呼ばれているということで、当時から同じ単位名で長さが全く違うものがあるという認識でした。しかもアバウト・・・。それが慣れてしまえばなんの疑問も持たずにいままで過ごしてしまっています。

日本の独自の単位なので…もとは中国の単位かも知れませんが…着物を造るのに必要な長さの巻物を反物と呼んでいたということで、子どもや背の高い人で長さが異なっていたので、反物の長さもきっちりとは決められなかったのかもしれません。着物 1着分が反物で着物と羽織のアンサンブルを誂(あつら)えるのには疋物が用意されたようです。当時は手染めになるので、1反ごとの色合わせなど難しく色ぶれがあるのが当たり前のことだったと思います。


例えば、正装用に黒色の着物と羽織を造るのに、別々の反物から縫いあげると多少の色差が出てしまいます。同じ反物内で造ったほうが色ぶれが少ないことを考えると、疋物が用意されたのが納得できる話です。

当時はニット部隊は 30m 巻が主流だったので、“反”を使用してました。合繊織物部隊は厚地も薄地も 50m巻が多かったので、“疋”を使ってました。ニットと織物の担当が全く別に分かれてたので、使い分けもされていました。
最近では・・・最近と言っても 20年ほど前くらいですが、織物もニットも同じ部隊で取り扱うようになって、使い分けが面倒となり“反”に落ち着いたという感じがしています。
以前は“疋”という会話や書類で織物と判断できましたが、“疋”も繊維業界の絶滅危惧種になっています。
伝統のある織物屋さんや織物染色屋さんでは残してもらいたいと思います。筆者の年代としてはですが・・・。

反と疋

JIS 規格の用語でも定義がないのですが、筆者愛用の「テキスタイル用語辞典/成田 典子著」によると

反(たん)・・・(織物・ニット)
生地の長さをあらわす単位。品種により異なり一定しない。
着物地の場合 1反は 1着の着物を仕立てられる長さをいい
約 11m 40cm ~ 12m。
羽織の場合の 1反は約 8m 50cm ~9m 80cmとなる。
服地の 1反は丸棒などに巻いた一巻のものをいい、 50m, 46m, 23 ~ 25m などがある。

疋(ひき)・・・(織物)
生地の長さをあらわす単位。品種により異なり一定しない。
着物時の場合 1疋は 2反の長さをいい約 22m 80cm ~ 24m。
しかし、男物のアンサンブルでは「着物と羽織分」の長さしかない場合もあり、これも「疋」と呼ばれる。
服地の 1疋は化合繊の長繊維で使用され、50m または 50 ヤール(約 46m)とされ、2分の 1疋( 23 ~ 25m)を 1反ということもある。

と説明されています。
筆者は長繊維の合繊部隊だったので、“疋”という単位を使ってたということになります。綿部隊や羊毛部隊は織物でも“反”が主流だったようです。
テーマで取り上げながらも筆者自身が勉強させられたコラム原稿になりました。繊維はやはり面白いです。

引用文献
『テキスタイル用語辞典』
発売日:2012年2月25日
著者:成田典子  
発行:テキスタイル・ツリー  
編集・制作:Textile Tree編集部

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防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
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