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No. 116 「集中豪雨による「特定非常災害」指定は初めて…」

2018/07/15

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2018年7月15日時点の内容です。

思いつきラボでは、筆者が防災・安全評価グループに所属していることもあり、大きな災害があったときには取り上げるようにしているのですが、前号( 6月 30日号)で大阪中心に6月18日に発生した震度6弱の地震があったので原稿にしたのですが、今回も甚大な被害が出てしまった「平成 30年 7月豪雨」について触れておきたいと思います。


テレビ報道や新聞では「西日本豪雨」という表現を使ってますが、これは単に報道で伝わりやすい名称を付けたもので、気象庁が正式に名称としたのが「平成 30年 7月豪雨」なのです。気象庁としては昨年の「平成 29年 7月九州北部豪雨」以来の名称付けで、今回は広範囲にわたった災害なので特定の地名の記載はありませんでした。

概要をまとめておきますと、対象期間は 6月28日から 7月8日にかけてのもので、中国の華中(かちゅう)と呼ばれる揚子江と黄河に挟まれた地域から日本海を通って北日本に停滞していた前線が 7月4日にかけて北海道付近に北上したのち、7月5日には西日本まで南下して停滞を続けたものでありました。さらに 6月29日に発生した台風 7号が東シナ海を北上して、対馬海峡付近で進路を北東に変えて 7月4日 15時に温帯低気圧になるまで影響を及ぼしました。この期間の降雨量は四国地方で 1,800mm 東海地方で 1,200mm を超えるなど、7月の降雨量平均値の2 ~ 4倍の大雨になったところもあると報道されていました。

特別警報が発表された地域

広範囲での記録的な大雨という報道ですが、実際に特別警報を発表したのは 11府県になりました。

九州地方:福岡県 佐賀県 長崎県
四国地方:愛媛県 高知県
中国地方:広島県 岡山県 鳥取県
関西地方:兵庫県 京都府
中部地方:岐阜県

一連の大雨とはいえ、九州から中部までに特別警報が発表されるのはきわめて珍しいことなのです。異常気象はまれに起こるものではなくて、最近では異常気象はいつでも起こりうるものになっていると意識しておく必要性があるような状況になってしまっています。災害時には防災の意識が高まるので、大雨の場合の“特別警報”について確認しておきましょう。

              

注意報・・・大雨になるおそれがあるときに雨が強くなると・・・             

・最新の情報に注意して 災害に備えた早目の準備を         

・雨・風の影響を受けやすい地区・避難困難者は早目の行動を                   

              

警報・・・大雨が降り続くと・・・               

・自治体が発表する避難に関する情報に注意し必要に応じて速やかに避難 

                             

特別警報・・さらに激しい大雨が続くと・・・ “ただちに命を守る行動をとる”     

・市町村からの避難勧告等に従い直ちに避難所に避難    

・外出が危険なときは 家の中で少しでも安全な場所に移動

              

 “特別警報”が発表されなくても、災害が発生することがあります。情報判断は最終的にはそれぞれ各自が行うことになりますので、普段から避難場所や避難ルートの確認は必要となります。今回でも崖崩れや土石流は山から離れた場所への避難となり、洪水は高台への避難ということになりますので、災害種別の避難場所も確認しておく必要があります。災害の内容によって避難場所は違うと認識しておきましょう。

特定非常災害に適用

今回の西日本豪雨に対して「特定非常災害」が 7月14日に発令されました。「特定非常災害」は、災害による被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律で、激甚な非常 災害について適用されるものです。


許認可などの有効期間の延長とか行政への届出義務などの猶予などが内容になっています。被災者が行政上の手続きなどの遅延で不利益にならないようにという法律になっています。ともかく「特定非常災害」に適用されるということは文字通り非常な災害ということになり、大災害と呼ばれるものにしか適用されません。

平成7年の阪神・淡路大震災の時に政令として定められたのが最初で、平成 16年の新潟県 中越地震、平成 23年の東北地方太平洋沖地震、平成 28年熊本地震についで、今回の平成 30年 7月豪雨 が 5例目となります。過去の 4回はすべて震災によるもので、大雨による適用は今回が初めてということになります。


まだ 7月ですので、これから大きな台風や大雨のおそれがあります。過去の降雨量に関する記録は 7月から 9月の間に記録されています。今後も注意が必要ということです。
思いつきラボの原稿は災害に関するものが少ないほうが 好ましいのですが・・・

PDF版はこちらから

お問い合わせ
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp

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