2015/03/30
No. 37 「ランドセルがなにかと話題になっています…」
思いつきラボ
2016/06/15
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2016年6月15日時点の内容です。
熊本地震が発生して2ヶ月が過ぎたところですが、6月12日に熊本県八代市でまた震度 5弱を記録してしまいました。大分県中部で 4月29日に震度 5弱の余震はあったものの、熊本県では 4月19日以来の発生になります。地震の規模はマグニチュード 4.3 とのことでしたが、震源地が深さ7kmと浅かったせいで大きな揺れとなりました。
今回の一連の地震の特徴は震源地が浅いということがあげられます。地震の規模が小さくても震源地が近ければ、震度は大きくなるということを実証しているような状況にあります。
災害や遭難などの捜索報道でたびたび「生存者の救出には災害後 72時間がめどと…」いう放送が流れます。これは 72時間経過するとその生存率が著しく低下するからで、現在の災害救助のひとつの目安になっています。
総務省の災害対策のマニュアルも
災害後 0 ~ 12時間を 情報初動期
災害後 12 ~ 72時間を 災害対応期
災害後 72時間以上 を 復旧復興期
と区分しており、人命救出を 72時間以内に最善を尽くすことが最優先事項となっています。
なぜ 72時間が生存率の限界時間と考えられているのかというと、人間は全く飲まず食わず動かずとも 1日 1.5 ~ 2.0リットルの水分を消費します。これが 3日( 72時間)も続くと脱水症状になり、同時に血液中のナトリウム(Na)やカリウム(K)の濃度が高くなってしまい、心臓の運動機能が低下してしまいます。わずかな水や食料の摂取でもその限界を遅らすことはできますが、体力的なことのほかにも精神状態がストレスによって弱気になることもあり 72時間( 3日)が生存率の大きな岐路にあると考えられているのです。
1995年1月17日 阪神・淡路大震災のその後のデータでも、救出された人の生存率は 72時間以内に救出されたかたは 96%(神戸市内のデータ)とあります。
また、2008年5月12日に起こった中国・四川 大地震でも救出者の 96% は 72時間以内に救出された人たちという情報もあります。
データの取り方が同じかどうか分かりませんが、どちらも 72時間以内に救出された人達のほとんどは高い確率で生存しているということです。
総務省消防庁の災害支援システムの考え方にも「災害発生後 72時間を過ぎると生存率は 1割弱 まで低下する」ということが基本にあるようです。
災害はどこでおきるか予想できませんが、起こった後は 12時間で対応を判断して 72時間以内は人命救助を最優先しなければならないということです。このことがニュース報道で「救出活動は 72時間のうちに」と言われる理由なのです。
このことは周知のことなのですが、災害によって交通機関が遮断され、派遣の医療チームや救出部隊が現地に入れず活動できないことが被害を拡大する要因になっています。いままでの救援作業でも起こっていることなのですが、救援隊を受け入れる側がすぐには体制を整えられないことにあります。当たり前のことですが、災害が起こってからでないと現場の状況が分からず、交通機関の被害状況も把握できないからなのです。
対応としては、陸地ルートが遮断することを想定して空からの対応ルートも確立しなければならない状況です。救援用ヘリコプターや医療用ヘリコターが発着できるような空母型の災害救助船があれば島国である日本としては有効な手段となりますが、現実にはまだまだ難しい話となります。
とりあえずは瞬時の判断に頼るしかありませんが、災害時には自分の身をまず守ることが最優先で、自分の身が大丈夫であることが前提で家族や地域を守ることにつながるのです。
話は逸(そ)れますが、“災害時に何を持って避難しますか?”というアンケートで最も多かった答えが“携帯電話”という結果になっていました。
現金や通帳よりも優先される必需品になっているということで、80%近くの回答率だったそうです。筆者は携帯電話を忘れることが多いのでちょっと驚きの結果でしたが、使用台数が1億台以上になっている現状を考えれば、当然の結果なのかもしれません。通信会社も災害時に繋がりにくくならない対策も常に研究しているので納得の結果のようです。
神戸市にある“人と防災未来センター”が阪神・淡路大震災の被災者の声を反映させて作った「非常 持ち出し品リスト」というものがあるのですが、このリストは、「0次の備え いつも携帯、1次の備え 非常時 持ち出し品、2次の備え 安心ストック」という分類をしています。その中でいつも携帯しておいたほうがいいですよ、という品目について紹介したいと思います。
「0次の備え いつも携帯」というのは、本来の非常持ち出し品の中で出来れば普段から持ち歩いていた方がいいですよ、という考え方のものです。災害はどこで遭遇するか分かりませんので、災害時に外出していても少しの準備で安心感は違うということなのです。少しの水や食料のおかげで助かったとか、携帯ラジオを持っていたので状況が把握できたとかという話は現実にあるので、携帯可能なものを推奨しているのです。
全て持って歩くことも難しいかも分かりませんが、非常時には役立つものを推奨してあります。車で移動することの多い方は全部載せておいたほうがよい品物です。考えているとあれもこれもという気になりますので、最終的には各自の判断ということになります。
携帯電話が一番ということは充電器も必需となりますし、替電池とかきりがありませんが参考にはなると思います。
家族の待ち合わせ場所も含めてこの時期に考えてみてください。
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防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
E-mail: bosai_anzen@nissenken.or.jp
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