2018/10/15
No. 122「「蓄光」という言葉には光るという意味もあるのですか…」
思いつきラボ
2015/05/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2015年5月30日時点の内容です。
製品プリント紹介の続きになりますが、それぞれ個別に見ることがあってもなかなかこれだけまとまって揃うことはないので、人気投票を行ったこともあり皆さんに楽しんでいただけたようです。
今回意外だったのが投票なしというサンプルが 1点もなかったので、プリントの好みは人それぞれということがあらためて判りました。今回も画像では判りにくいとは思いますが、言葉だけでも伝わりにくいので画像も一緒に掲載いたします。
まず基本となる “顔料プリント” と “ラバープリント” を紹介しますと
となります。
「一度刷り 二度刷り」は生地の吸着性や濃さのムラによって作成者の意図によって決めますが、単純に「二度刷り」の方がきれいに仕上がると思ってください。
本来 “染料プリント” も加えておくのが基本と言えるのですが、染料プリント加工の場合は廃液の問題やバキューム装置など設備も異なることがあるので、専門の業者で加工することが主流になってしまいました。バキューム装置というのは染料インクを置いた時に同時に生地の裏からインクを吸い込む装置のことになります。
染料は生地に馴染みますので、裏にもインクが回ると同時にヨコにもインクが拡がってしまいます。細い線などを描(えが)こうとしたときすぐに余分なインクを吸い込まないとインクがにじんで線が太くなってしまいますので、繊細な柄の場合はこの装置がないときれいに仕上げられません。ということで、今回のサンプルでは作っていませんが、製品プリントの基本には “染料プリント” も当然含まれます。
“顔料プリント” と “ラバープリント” にアレンジを加えたものが次のサンプルになります
スポーツウェアにプリントするということはチームロゴや背番号といった必要性のあるものになりますが、カジュアルウェアにプリントするのはほとんどデザイン的なものとなりオシャレ感や目新しいものが好まれます。市場性が広まったプリントに慣れてしまうと、ちょっと違った特徴のあるプリントの要望がでてきます。
「なにか新しいもの」がファッションということなので、「もう少し明るく見えるプリント」がいいとなれば、“ラバープリント ホワイトタイプ” を、「艶のないシブめのプリント」と言われれば “ラバープリント マッドタイプ” をお奨めします。
いつものように話が逸れますが、 “マッドタイプ” はつや消しタイプの意味で使っているのですが、つや消しは英語では “マット(matt matte)” と出てきます。プリント業界や塗装業界ではつや消しの黒色を “マッド ブラック” とよんでいるので、慣例的につや消しのことを “マッド” と呼ぶことがあります。読み間違いがそのまま業界用語となってしまったのか、別の意味があって正しく “マッド” となっているのかは判りませんが、間違って使っているわけではありません。筆者も紙印刷のときは “マットタイプの紙とかマット紙” という表現をします。一部の地域だけかも分りませんが、つや消しタイプをマッドタイプと表現することもあるということです。
“ラバープリント ホワイトタイプ” というのはバインダーは透明なのが一般的なのですが、ホワイトタイプは乳白色のバインダーを使って明るく仕上げるときに用います。画像で見ても明るくハッキリした仕上がりになっているのが判ります。一方 “ラバープリント マッドタイプ” は光沢感を抑えて落ち着いた雰囲気に仕上げたいときに使う手法となります。どちらのタイプも基本的なラバープリントや顔料プリントとは雰囲気の違う仕上がりになります。
“半ラバー マッド+顔料” はさらに光沢感をなくし落ち着いた雰囲気に仕上がっていますが、文字の通りラバーインクと顔料インクを半分ほどの比率で混ぜ合わせてプリントしたものになります。顔料プリントでもなくラバープリントでもない、独特の表現ができることになります。「あのプリント ちょっと変わっているね」と言わせることができるかも知れません。筆者が人気投票に参加していれば この “半ラバープリント マッド+顔料” に 1 票入れたいと思った商品です。ちなみに今回の投票には筆者は参加しておりません。
今回はこの辺りで原稿を終えますが、基本的なプリントにも票が入ったことが嬉しいのです。もちろん票数は少ないですが、シンプルなプリントでもデザインやちょっとだけ加工アレンジをすることで売れ筋商品を作ることは可能になります。これだけのプリントサンプルを眺めているだけで楽しいものです。東京事業所 蔵前ラボ・東京事業所 立石ラボ・大阪事業所の 3ヶ所にそれぞれ1セットずつ置いてありますので、興味を持たれたかたは是非現物もご覧ください。
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防災・安全評価グループ グループ長
竹中 直(チョク)
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