2020/04/15
No. 158 「JIS T 8127:2020 高視認性安全服 主な改正点は…」
思いつきラボ
2015/03/30
繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。
※2015年3月30日時点の内容です。
桜の花が咲き始めて春らしくなってきました。4月に入れば新一年生達が新品のランドセルを背負(しょ)ってデビューをします。毎年のことなのですが、微笑ましい姿に大人たちも顔がゆるんでしまいますが、このランドセルが海外で流行り始めているというというニュースをよく耳にするようになりました。昨年(2014年)の夏頃から取り上げられることが増えてきたのですが、今回のテーマはそんなお話になります。
きっかけになったのは、アメリカのハリウッド女優がお洒落バッグとして使い始めてファッション雑誌に取り上げられて。その姿がネットで公開されるとまたたく間に話題となったことがことの始まりだというのですが、さらに解説によれば、日本のアニメにランドセル姿の子供のキャラクターが人気となって、海外からの旅行客が日本のお土産として買い求めていくようになったとのことです。日本のランドセルは何年使っても壊れないという噂も拡まって、本来の学童用途としても需要が増えていると説明されていました。
今の世の中、ネットのおかげで流行も世界単位で広まっていくようです。国内ではランドセルは子供の小学校のカバンという意識しかありませんが、海外の人にはお洒落なバッグに見えるのかもしれません。
タイミングが重なったのですが、昔は男の子が「黒」で女の子が「赤」のランドセルと相場がきまっていたものですが、最近では 24 色展開のブランドも登場しており 、ファッションとしても選びやすくなっているのも流行る要因になっているのかもしれません。
”大人のファッションバッグ”“日本のアニメのランドセル姿”“多色展開”“丈夫で長持ち”“日本のおみやげ”と筆者には想像できないことがほとんどです。“丈夫で長持ち”だけは実感としてわかりますが、ほとんどの小学生は6年間を同じランドセルですごします。これも海外では日本製だからと考えているようです。
国内のランドセル業界にとってはありがたい話だと思いますが、お洒落バッグは流行りものなので継続的な需要にならないかもしれませんが、子供の通学カバンとして世界的な商品となる可能性はあると思います。ランドセルが日本のおみやげになるとは・・・やはり考えにくいことです。
ふと思えば、外来語である「ランドセル」が日本のお土産になるのはちょっと不思議です。海外から見れば日本特有の商品ということになっているらしいのですが、ちょっと調べてみると、江戸幕末ころにオランダから ransel (ランセル)というリュックのような背負いのカバンが軍隊用に入れられた物が「ランドセル」になったとありました。
日本に来てから軍隊用にさらに改良が重ねられて、丈夫で簡単には壊れないランドセルに進化していったようです。さらに1885 年には学習院初等科ですでに学校カバンとして採用されていたと記されていました。ただし、この頃の商品はまだリュックサックに近いものだったようです。いずれにせよ、ランドセルは 130 年つづく外来語の日本伝統文化ということになるようです。
もうひとつランドセルの色に関する話題があるのですが、こちらは国内での話になりますが、さきほど昔は男の子が「黒」で女の子は「赤」と相場が決まっていたと書いたのですが、ここ数年赤色のランドセルを好んで選ぶ男の子が増えているというのです。そしてその原因と推測されているものが興味深いもので、テレビで放映されている戦隊ヒーローが原因になっているらしいというものです。
ランドセルに代表されるように、男の子は「黒」、女の子は「赤」というイメージで男の子が赤いものを身につけるのは少し恥ずかしいことだったのですが、テレビ放映の戦隊ヒーローものがその意識を薄れさせたと考察しているのです。
戦隊もののほとんどが、5人ほどのチームで変身して悪者と戦うというシンプルなパターンなのですが、そのリーダー格は必ず「赤」の衣装に変身するということが影響しているとのことなのです。
筆者が子供の頃、テレビは白黒でヒーローの色などは濃・中・淡の無彩色でしか記憶には残っていませんが、カラーテレビが普及して40年、戦隊チームのリーダーがずっと「赤」だった偶然が重なって、世代ごとに受け継がれて 「赤」が正義や勇気のシンボルカラーとなって、女の子の色ではなく男らしい色にもなっているということなのです。実に新鮮な分析で、しかも納得できる解説でありました。
本来「赤」が女の子らしい色とイメージづけられていることが余計なことだったのかもしれません。これからの男児用の商品デザインには赤色を取り入れるというのはひとつのキーワードになると思います。
赤色のランドセルを欲しがる男の子が増えてはいるものの、そのままお買上げとまでなっていないのは、買うのがおじいちゃんやおばあちゃんになるのと、母親世代が子供の頃見ていた女の子向けヒーローもののリーダーは必ずしも「赤」ではなかったので、「赤」が男らしい正義の色という理解ができないことにあります。
この先、戦隊シリーズが続き、リーダーが赤色の衣装に変身する光景がつづけば、今の父親世代がおじいちゃんになればランドセルの色は男の子は「赤」女の子は「黒」という時代がくるかもしれません。色の持つイメージや色に対する嗜好性なども、時には視点をかえて考えることも必要に感じます。「赤」という色は女の子が好むイメージで、男の子の憧れの色というイメージは持ち合わせていませんでした。
せっかくなので、筆者もヒーローに憧れて赤色の服を身につけ颯爽と街へ出かけると、早速知り合いに声を掛けられ「やっぱり 還暦過ぎると赤を着たがるんだ」だと・・・違うんだってば~!!
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