あけましておめでとうございます！
本年も化学物質の規制動向について、へびのようにしなやかに情報収集を行い、有益な情報を皆様にご提供できるよう励んで参りますので、引き続き《化学物質のいろは》を何卒よろしくお願いいたします。

図1　繊維産業チェーン概念図

記念すべき2025年初めの化学物質のいろはでは、「揮発性有機化合物」をご紹介いたします。

揮発性有機化合物とは、揮発性を有し、大気中で気体となる有機化合物の総称 (VOCs / Volatile Organic Compounds)です。例として、VOCsはシックハウス症候群の原因物質と指摘されており、壁紙、合板、発泡体や接着剤などから大気中へ放出される恐れがあります。エコテックス®ではこれらをVOCs放散量として規制しています。当該VOCsの代表的な物質として、トルエンやスチレン、ホルムアルデヒドなどが挙げられます。
また、トルエンやシクロヘキサノンなどのVOCsは溶剤として使用され、繊維製品や化学薬剤から検出される恐れがあり、エコテックス®ではその他VOCs含有量として規制しています (上記VOCs放散量とは異なる規制)。2025年1月より主に繊維製品を対象とした認証であるスタンダード100のAnnex 4においても、新たにその他VOCsが規制対象に加わりました。今回はその他VOCsをピックアップしてご紹介いたします。

図2 トルエン (CAS 108-88-3) 構造式

その他VOCsの試験対象 etc.

主な試験対象：合成繊維、コーティング製品、PUR/PVC、プリント など
試験方法　　：サンプルを捕集管にセットし、分析装置 (TD-GC-MSなど)を用いて定量します
検出事例　　：化学薬剤、熱転写プリントなどから、トルエンやシクロヘキサノンが検出

その他VOCsの有害性

腎臓・肝臓機能障害、遺伝毒性 など

エコテックス®規格での規制

▶スタンダード100
　Annex 4、6：製品クラスⅠ～Ⅳ 10 mg/kg (ベンゼン以外)、製品クラスⅠ～Ⅳ 1.0 mg/kg (ベンゼン)

▶エコパスポート：
　希釈薬剤：100 mg/kg (11種)、50 mg/kg (9種)、10 mg/kg (ベンゼン)
　非希釈薬剤：10 mg/kg (ベンゼン以外)、1 mg/kg (ベンゼン)
　※ナフタレン、NMP、DMAc、DMFは除く。レザースタンダードは規制対象外。
　詳細に関してはそれぞれの規制値表にてご確認ください (特例あり)。

その他主な規制

▶欧州：REACH SVHC

▶他規格・他認証：ZDHC、AFIRM、bluesign®

ニッセンケン化学試験事業部からの一言アドバイス

冒頭でもご紹介した通り、2025年1月よりスタンダード100のAnnex 4においても、その他VOCsが規制対象となりました。溶剤として使用されるケースが多く、また規制物質の中でも検出頻度が高いため、試験依頼も増えています。
エコテックス®認証を取得することで、さまざまな規格や法律に対応できるようになります。
今後もご注目ください！

【有害化学物質に関するお問い合わせ先】
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 化学試験事業部
E-mail : oeko-tex@nissenken.or.jp