おさえておきたい基礎知識

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《化学物質のいろは》第6弾 環状シロキサンについて

2024/04/02

世界の化学物質の使用状況において、実に25%を占めている繊維関連製品の生産。昨年9月より開始した本コラム・《化学物質のいろは》では、SDGsの目標の1つでもある「12 つくる責任、つかう責任」を担う繊維産業・関連産業に携わるすべての方に、少しでもお役に立てるよう、化学物質に関する基礎知識と最新情報をお届けします。

図1 繊維産業チェーン概念図

シリコーンは、耐熱・耐寒性があり化学反応を起こしにくく、その化学構造によりオイル、ゴム、樹脂状の性状を持つことができるため、建設、電気・電子、自動車、繊維・レザーなど様々な分野や日常生活で使用されています。そうしたシリコーン製品の主な製造原料は「環状シロキサン」ですが、人体や環境への有害性が懸念される面があります。各国においてリスク評価が実施されており、エコテックス®ではすでに規制対象となっています。
第6弾では環状シロキサンについて解説していきます。

環状シロキサンとは

環状シロキサンとは、ケイ素原子上に2つのメチル基を持つケイ素原子(Si)が酸素(O)原子と結合したジメチルシロキサン単位 (CH3)2Si-O-を有する環状構造を持つ化合物です。中でも環状シロキサンとして一般的なものがD4、D5及びD6です。環状シロキサンは高沸点でありながら、揮発性が高いため環境中にも存在し得る物質です。
一般的な分析手法としては、サンプルを有機溶剤で抽出後、GC-MS等の分析装置を使用して測定を行います。

図2  環状シロキサンD4 構造式

環状シロキサンの有害性

環状シロキサンの有害性に関しては、難分解性、高蓄積性、長期毒性又は高次捕食動物への慢性毒性を有しています。また、GHS分類における健康に対する有害性においては、生殖毒性 区分2 (ヒトに対する生殖毒性が疑われる化学物質)に分類されています (D4)。

環状シロキサンの主な規制

▶エコテックス®
 ・スタンダード100:1,000 mg/kg   (全ての製品クラス)
 ・レザースタンダード:1,000 mg/kg (全ての製品クラス)
 ・エコパスポート:1,000 mg/kg
▶欧州
 ・REACH規則 SVHC
▶日本
 ・化審法(D4、D6を監視化学物質として)

ニッセンケン化学試験事業部からの一言アドバイス

EUにおいて環状シロキサンをストックホルム条約の対象物質とする提案が検討されており、今後の規制動向に注目していく必要があります。なお、エコテックス®では主にシリコーン、柔軟剤、撥水・撥油加工品、帯電防止加工品が試験対象となっています。
エコテックス®は有害物質に対する調査や研究を日々行っており、エコテックス®認証を取得することで様々な規格や法律にも対応することが可能となります。
これからもエコテックス®の規制物質にご注目ください!

【有害化学物質に関するお問い合わせ先】
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 化学試験事業部
E-mail : oeko-tex@nissenken.or.jp

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