思いつきラボ

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No. 61 「プラスチック製品についている “SPIコード”って…」

2016/03/30

繊維業界は歴史が長く、また、川上から川下までサプライチェーンが長いため、立場が異なるだけで言葉づかいや慣習が異なります。 「思いつきラボ」では、繊維に関するちょっとした疑問や面白話などをご紹介します 。

※2016年3月30日時点の内容です。

だいぶ春めいてきました。寒い日と暖かい日の温度差が大きいので身体が気温の変化についてこれなくなっていますが、ともあれ桜の便りも聞こえるようになりました。ここ数年外国からの訪問者が増えていることはよく報道されていますが、外国人の日本の不思議のなかに、銀座や渋谷の街にゴミがないことを取りあげている意見をよく耳にします。
しかもゴミ箱が設置されていないのに・・・というところが不思議なことのようです。ゴミ箱が設置されていればマナーのよい国ではゴミが散らかることもないのですが、とにかくゴミ箱が少なくて街がきれいなことが不思議ということなのです。

SPIコード 実は7つもあります

ゴミ箱が少ないことに不親切な街だという意見ではなく、どこにゴミを捨てているのという疑問になっているようです。同時に外国の方もポイ捨てができない心理になるようで、街の美化につながっていて自国でもというような人が増えてきているとのことです。ちょっと嬉しい話になっています。もうひとつ、日本のプラスチック製品にSPIコードが見られないのも欧米人からすれば国際ルールのはずなのに・・・という不思議感を持ってしまう人もいるようです。SPIコードとはペットボトルについている矢印で、囲った三角形の中に数字の 1 が記載されているマークのことです 。

SPIは米国プラスチック産業協会(the Society of the Plastics Industry)の頭文字をとったものです。SPIコードとは、この米国プラスチック産業協会が 1989年に制定した原料樹脂の材質を区分するための図記号です。図のように 1番から 7番に分けられています。日本でも当初は日本プラスチック工業連盟が SPIコードの使用を推奨していたので 1990年代は見掛けることもありましたが、2001年(平成13年)4月に資源有効利用促進法によって、飲料用・醤油用・酒用ペットボトルのみSPIコードの 1番を表示し、それ以外のプラスチック包装材にはプラマークを付けることに定められたため、1番以外は見られなくなったのです

SPIコードで1以外は国内販売では必要ないのですが、海外からの輸入品には 2 ~ 7の番号もでてきますので意識していると目にすることができます。では 1 ~ 7 までを全て集めようとすると、これがなかなか揃わないのです。興味のあるかた収集してみてください。当センターとしては、素材分析を行うIR赤外分光法の実習に役立つかもしれません。

では、なぜ日本では 1以外の SPIコードを使わなくなったのかというと、国内品の場合、用途特性や耐久性を考えることが優先されてきたため、単一樹脂でプラスチックをつくらず、複合材料を用いることが多いために分別区分がしにくいということが背景にあるようです。ある意味日本の技術力の高さがプラマークに せざるを得なかったということになります。

毎日のように見ているプラマークですが表記の意味をちゃんと教えてもらう機会もないと思いますので説明しておきます。

このような表記をした洗剤容器がありますが、これは本体のボトル容器がポリエチレン(PE)で、キャップがポリプロピレン(PP)ですよという意味になります。

と書かれた商品は、外装・内装・トレイが全てプラスチックで、外装はポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)で、内装がポリエチレン(PE)とポリアミド(PA)の複合材料を使用しています。さらにどちらもポリエチレンが主たる材料ですよ、ということになります。複合素材の場合、主だった材質の下にアンダーバーが記載されます。

種類は多いですが、分別に協力しましょう

なかなか意識することもないでしょうが、リサイクル活動するには表記の読み方が分からないと分別ができません。といいながらプラマークは全て同じように区分してゴミ収集にだすので、実際のところは回収したあとにどのように処理されているかはわかりません。
ついでに地域によって異なるかもしれませんが、ペットボトルと同じポリエステルのトレイ容器を一緒に分別ゴミにだすと怒られるのは、分別対象が同じポリエステルでも飲料用とその他容器とが別の扱いになるからなのです。
ペットボトルは SPIコードの 1を表示し、ポリエステルトレイはプラマーク:PETと表示しなければならないということです。

プラスチックの記号については、JIS K 6899-1 ―記号及び略語に規格が定められています。ここでも紛らわしいのが、繊維の表記と統一化されていないので、プラスチックでは PEはポリエチレンですが繊維ではPEと表記するとポリエステルのことを指す場合があります。ここは注意が必要になります。

ともあれゴミの分別は地球温暖化の防止に繋がる活動ですので、できるところだけでも構いませんので意識をもって協力していきましょう。

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一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
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竹中 直(チョク)
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