安全評価
安全性試験では、特定芳香族アミンやホルムアルデヒドなど、法律で規制されている物質をはじめとする人体に有害な物質の試験を行います。
安全性
試験項目の一例
- 特定芳香族アミン
- ホルムアルデヒド
- 重金属
- pH
- 残留農薬
- フェノール類
- フタレート
- 有機スズ化合物
- アレルギー誘発性染料
- 塩素化ベンゼン/トルエン
- 多環芳香族炭化水素(PAH)
- VOC
特定芳香族アミン
【規制内容のポイント】
1992年にエコテックス®スタンダード100にて、還元分解により生成され発がん性が指摘される「特定芳香族アミン」を禁止して以降、1994年にドイツ、その後にEU、近年には中国、韓国でも法規制がされました。日本においても、厚生労働省による特定芳香族アミンに関する法規制準備が粛々と進められ、2016年4月に改正規制法が施行されました。
【規制対象製品】
繊維製品
- おしめ
- おしめカバー
- 下着
- 寝衣
- 手袋
- くつした
- 中衣
- 外衣
- 帽子
- 寝具
- 床敷物
- テーブル掛け
- えり飾り
- ハンカチーフ
- タオル
- バスマットおよび関連製品
革製品(毛皮製品含む)
- 下着
- 手袋
- 中衣
- 外衣
- 帽子
- 床敷物
特定芳香族アミンとは
繊維製品などに使用されている染料の中で、発ガン性が認められる成分に変化し得るもののことを言います。
すべての着色料(染料/顔料)の中でアゾ系染料(アゾ基(-N=N-)を持つもの)は、約7割といわれています。
これらの中で、体内の酵素などにより還元分解され、形を変えることで芳香族アミンを生成するものがあります。
その芳香族アミンの中で、発ガン性が認められている24種類の物質を「特定芳香族アミン」と呼んでいます。
No. | CAS.No. | Name | No. | CAS.No. | Name |
---|---|---|---|---|---|
1 | 92-67-1 | 4-アミノジフェニル | 13 | 838-88-0 | 3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノジフェニルメタン |
2 | 92-87-5 | ベンジジン | 14 | 120-71-8 | p-クレシジン |
3 | 95-69-2 | 4-クロロ-o-トルイジン | 15 | 101-14-4 | 4,4′-メチレン-ビス-(2-クロロアニリン) |
4 | 91-59-8 | 2-ナフチルアミン | 16 | 101-80-4 | 4,4′-オキシジアニリン |
5 | 97-56-3 | o-アミノアゾトルエン | 17 | 139-65-1 | 4,4′-チオジアニリン |
6 | 99-55-8 | 2-アミノ-4-ニトロトルエン | 18 | 95-53-4 | o-トルイジン |
7 | 106-47-8 | p-クロロアニリン | 19 | 95-80-7 | 2,4-トルイレンジアミン |
8 | 615-05-4 | 2,4-ジアミノアニソール | 20 | 137-17-7 | 2,4,5-トリメチルアニリン |
9 | 101-77-9 | 4,4′-ジアミノジフェニルメタン | 21 | 90-04-0 | o-アニシジン |
10 | 91-94-1 | 3,3′-ジクロロベンジジン | 22 | 95-68-1 | 2,4-キシリジン |
11 | 119-90-4 | 3,3′-ジメトキシベンジジン | 23 | 87-62-7 | 2,6-キシリジン |
12 | 119-93-7 | 3,3′-ジメチルベンジジン | 24 | 60-09-3 | 4-アミノアゾベンゼン |
No.5~24は、動物実験で発ガン性が確認されている物質です。
試験フロー
※還元分解例
試験のご依頼について
必要試料 | 各色につき約10gが必要となります。 |
---|---|
試験費用 | 詳細は各事業所にお問合せください。素材の種類や量に応じて都度お見積りをさせていただきます。 |
納期 | 通常5営業日となります。 ※特急対応として、2営業日からのご対応が可能です。ご相談ください |
ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドとは
ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質の一つともいわれる有害物質で、繊維製品においては「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則」(厚生省令第34号)によって試験方法と基準値が決められています。
一般的に、ホルムアルデヒドは防しわや防縮の目的で繊維製品に使用されますが、空気中に飛散するため性質を持つため、その製品に使用されていなくても、同じラインで製造されたり、同じ場所で保管されたりする製品にホルムアルデヒドが含まれていると、「移染」することがあります。また、建材、壁紙、家具などに使用される接着剤にも含まれる場合があり、これらも移染の原因となります。このため、縫製工程の環境や、密封して保管するなど注意が必要です。
ホルムアルデヒドは、全ての素材で基準値をクリアしている必要があるため、素材(パーツ)ごとに試験を実施する必要があります。
基準値
重金属
重金属分析とは
重金属には、皮膚接触(汗による溶出)や経口接触(飲み込みなど)により、人体に悪影響を及ぼすものがあります。
これらに対応する試験として、ある溶媒に浸漬した場合に溶け出す量を測定する「溶出重金属分析」と、検体に含まれる重金属の量そのものを測定する「含有重金属分析」があります。
溶出
基準 | 溶出液 | 主な対象 | 規制対象 |
---|---|---|---|
エコテックス®スタンダード 100 (10種9元素) | 人工汗液 | 繊維 | アンモチン、ヒ素、鉛、カドミウム、水銀、クロム (3価、6価)、コバルト、銅、ニッケル |
EN-71 part3 (8元素) | 塩酸溶液 (胃酸想定) | 玩具 | アンチモン、ヒ素、バリウム、カドミウム、クロム、鉛、水銀、セレン |
含有
基準 | 主な対象 | 規制対象 |
---|---|---|
エコテックス®スタンダード 100 | 金属アクセサリー | 鉛、カドミウム |
CPSIA (米国消費者製品安全性改善法) | 玩具、金属アクセサリー | 鉛 |
ELV指令 | 車両関連 | 鉛、水銀、カドミウム、6価クロム |
RoHS指令 | 電子・電気機器 | 鉛、水銀、カドミウム、ポリ臭化ビフェニル、ポリ臭化ジフェニルエーテル、6価クロム |
試験方法
※AAS: 原子吸光分光光度計
※ICP: 誘導結合プラズマ発光分光分析装置
※XRF: 蛍光X線分析装置
試験機材
原子吸光分光光度計
※上記以外の金属(元素)の分析については、詳細はエコテックス事業部へご相談ください。
ICP発光分光分析装置
エコテックス®認証
エコテックス®は、繊維製品およびその関連製品に特定芳香族アミンなどの身体に有害な物質が含まれていないことを証明する、全世界共通の「繊維製品の安心・安全の証」です。
ニッセンケンは、2000年にエコテックス®国際共同体に加盟して以来、日本で唯一のエコテックス®認証機関としてテキスタイルエコロジーにのっとり、エコテックス®スタンダード100に基づく安全な繊維製品の認証活動を進めています。
品質コンサルティング
購入者からのお申し出を抑制し、顧客満足度を高める商品となるよう、
スペシャリストが事前に商品の品質についての問題点を指摘し、改善提案いたします。
品質チェック・アドバイス
企画段階における、素材や仕様等の確認、縫製品の外観チェックまで、店頭に並ぶ前の改善提案をします。また、管理業務(品質・生産・検品)に関するシステムの構築等の提案、アドバイスも行います。
基準書改定のサポートなども承ります。
表示上のアドバイス
試験データに基づき、取扱い表示・付記用語等の表示に関するアドバイスを行います。日本語・中国語・英語に対応しています。
クオリティ・コンシェルジュ・サービス
表示や品質チェック、事故品等のご相談につきまして、オンラインを利用した無料コンサルティングサービスをご提供しています。
社員教育・講習会の開催
品質管理に関する基礎知識セミナーの開催や法規制化への対応、業界最新情報など、専門機関ならではの情報をご提供します。
修整・改善のご提案
製品への指摘が出た際の原因究明および修整・改善のご提案や対応企業のご紹介など、アフターフォローをお手伝いします。
各種お問い合わせCONTACT
サービス全般についてのお問い合わせ
各種試験・検査に関するお問い合わせ、ご依頼はこちらから承ります。
エコテックス®に対するお問い合わせ
エコテックス®認証に関するお問い合わせ、ご依頼はこちらから承ります。
技術資料ダウンロード
各種試験・検査に関する技術資料が、こちらからダウンロードいただけます。
よくあるご質問
試験・検査などで、皆さまからよくいただく質問と回答をまとめています。
お電話からのお問い合わせはこちら