お知らせ
2024年4月発効 エコテックス®認証の最新規制値等を情報公開します
2024/03/05
エコテックス®国際共同体(本部:スイス チューリッヒ)は、今年1月に2024年4月1日から適用する繊維製品等に関わる有害化学物質の各種新規制概要について発表しました※。このたび、エコテックス®規格の【スタンダード100】【エコパスポート】【ステップ】【レザースタンダード】【メイド イン グリーン】【オーガニックコットン】各認証及びラベルに適用する試験基準、規制値、要求事項等について、さらに詳細な情報が公開されましたので、日本国内の全ての繊維・ファッション産業の皆様に向け、ニッセンケンよりお知らせいたします。
ニッセンケンはアジア地域唯一のエコテックス®認証機関として、国際共同体との連携のもと、最新の科学的知見や法規制等に基づいて認証に適用する試験基準・規制値等を常に更新し、認証取得企業・製品のさらなる信頼確保のためのサービスを提供してまいります。 ※既報:エコテックス® 2024年の新規制・新規取組みについて
1.各認証の2024年規制値について
1) スタンダード100、オーガニックコットン、レザースタンダード及びエコパスポートにおける規制値
・規制値表にSVHC物質が新たに追加されました。
Substance | CAS Number | STANDARD 100 | LEATHER STANDARD | ORGANIC COTTON | ECO PASSPORT |
---|---|---|---|---|---|
Diphenyl (2,4,6- trimethylbenzoyl)phosphine oxide |
75980-60-8 | 1000 mg/kg | 1000 mg/kg | 1000 mg/kg | 1000 mg/kg |
Bis(4-chlorophenyl) sulphone | 80-07-9 | 1000 mg/kg | 1000 mg/kg | 1000 mg/kg | 1000 mg/kg |
1,4-dioxane | 123-91-1 | 10 mg/kg | 10 mg/kg | 10 mg/kg | 100 mg/kg |
2) スタンダード100、オーガニックコットン、レザースタンダード及びエコパスポートにおけるPFAS変更点
・2024年1月1日以降、PFASの意図的使用をより効果的に禁止するため、現行のEOF(溶出有機フッ素化合物)に代わり、TF(総フッ素)が規制対象となりました。規制値はすべての製品クラスで100 mg/kg に変更されます。
・PPEは総フッ素含有量の例外となります。
Substance | CAS Number | STANDARD 100 | LEATHER STANDARD | ORGANIC COTTON | ECO PASSPORT |
---|---|---|---|---|---|
PFCA related substances; sum | various | 260 μg/kg | 260 μg/kg | 260 μg/kg | 260 μg/kg |
Perfluorohexanesulfonic acid, related substances and salts (PFHxS); Sum |
various | 25 μg/kg | 25 μg/kg | 25 μg/kg | 25 μg/kg |
3) 規制値に関するその他の変更点
・フェノール
レザースタンダードのすべての製品クラスにおいて100 mg/kg の規制値が追加されています。
・SCCP&MCCP
レザースタンダードのすべての製品クラスにおいて規制値が合計50 mg/kgへ引き下げられました。
・グルタルアルデヒド
グルタルアルデヒドの規制値はスタンダード100のサンプルに関係が無いため、スタンダード100から削除されました。
4) ステップに関する規制値(Annex 3,Group11関連) ― スラッジ試験の要求事項
・11.重金属とそれらの化合物
Group 1,7,12の試験に加え、スラッジ試験における「11.重金属及びその化合物」試験もしなければなりません(edition 01.2022)。
Substance | CAS Number | MRSL | Wastewater | Sludge | ||
---|---|---|---|---|---|---|
Limit Values [µg/l] |
Reporting Limit [µg/l] |
Limit Values [mg/kg] |
Reporting Limit [mg/kg] |
|||
Antimony(Sb) | 7440-36-0 et al. | X | 100 | 1 | testing required | 2 |
Arsenic(As) | 7440-38-2 et al. | X | 50 | 1 | testing required | 2 |
Lead(Pb) | 7439-92-1 et al. | X | 100 | 1 | testing required | 2 |
Cadmium(Cd) | 7440-43-9 et al. | X | 100 | 0.1 | testing required | 2 |
Chromium(Cr) | 7440-47-3 et al. | (X)1 | 200 | 1 | testing required | 2 |
Cr(VI) | 18540-29-9 et al. | X | 50 | 1 | testing required | 2 |
Cobalt(Co) | 7440-48-4 et al. | (X)1 | 50 | 1 | testing required | 2 |
Copper(Cu) | 7440-50-8 et al. | (X)1 | 1000 | 1 | testing required | 2 |
Nickel(Ni) | 7440-02-0 et al. | (X)1 | 200 | 1 | testing required | 2 |
Mercury(Hg) | 7439-97-6 et al. | X | 10 | 0.05 | testing required | 0.2 |
Zinc(Zn) | 7440-66-6 et al. | (X)1 | 5000 | 5 | testing required | 2 |
Manganese(Mn) | 7439-96-5 et al. | (X)1 | – | 1 | – | 2 |
Silver(Ag) | 7440-22-4 et al. | X | 100 | 1 | testing required | 2 |
2.認証別の2024年新規制について
2-1 エコテックス®スタンダード100
1) GMO 規制値の調整
GMO規制値を10%から5%に引き下げました。避けられない汚染を考慮しながら、意図的に作られたサンプルを回避することができます。
2) 付属書4(Annex 4): 揮発性有機化合物(VOCs)
付属書4(Annex 4)に従う認証においては、すべての VOCが検査されることになります。これは規制と最終消費者の健康に関してより高い安全性を確保するために講じられた措置で、1年間の移行期間が設けられています。
3) pH 例外事項
タフタ製ラベルが不安定でサイズが小さいため、pHの例外が設けられます。これらの成形品の新しい許容pH範囲は4.0~9.0です。
4) 装飾品用のマイクロプラスチック
ECHA(欧州化学品庁)が装飾品へのマイクロプラスチックを規制したことに続き、エコテックス®も装飾品への合成ポリマーマイクロプラスチックを禁止します。
2-2 エコテックス®エコパスポート
1) フォーム材(発泡体)用化学薬剤
対象製品の範囲を拡大し、フォーム材(発泡体)用化学薬剤を追加しました。該当する製品分類は「4.3 フォーム材(発泡体)用化学薬剤」になります。
2) マスターバッチ
マスターバッチは、高吸水性ポリマーとともに新しい製品カテゴリーとして追加されました。これにより認証企業は自社製品をより正確にラベリングでき、認証書やバイイングガイドでアピールすることができます。
3) セルフアセスメントのアップデート
申請書に「セルフアセスメント」が追加されました。従来のセルフアセスメントから重要度の高い要求事項を絞ることで、セルフアセスメントの回答を大幅に縮小しました。この変更は2024年1月1日に実施済みです。
2-3 エコテックス®ステップ
1) ZDHC Supplier to Zero プログラム
ステップとZDHCの協力及び「ZDHC Supplier to Zero プログラム」は継続します。2024年以降、ステップ認証企業は「ZDHC Supplier to Zero プログラム」の新たな割引が適用されます。
・ZDHC Foundation Level (Level 1) – 手数料の免除
・ZDHC Progressive Level (Level 2) – 手数料の50%割引
ZDHCのプロジェクトへの参加を希望する認証企業は、認証担当のエコテックス®試験機関にお問合わせください。
2) ステップ規格書01.2024
新規格書の適用範囲が拡張され、工業用ランドリーもステップ認証を申請できるようになりました。
また、市場におけるサステナビリティへの要求の高まりにより、下記の各モジュールにサステナビリティを強化する必要があるため、新たな絶対的要求基準(Exclusion Criteria)が追加されました。
①環境パフォーマンス
・4.2.1 食品産業に関係する皮
食品産業に由来する原材料の皮であることを証明する書類を提出しなければなりません。
・4.2.8 マイクロプラスチック
マイクロプラスチックは、生物多様性と生態系全体の健全性を脅かします。企業は製造中にマイクロプラスチックが生成及び放出される可能性があるリスク/発生源を特定する必要があり、または環境へのマイクロプラスチックの放出を避けるための措置を講じるべきです。
・4.2.9 食品産業用皮の廃棄物の処理
食品産業の原材料となる皮は、個別の指定されたエリアで収集・加工されるべきです。
②社会的責任
・4.4.7 賃金控除
賃金控除は企業の人事ファイルに書面で記録され、労働者には控除について分かりやすい方法で通知されるものとします。
・4.4.7 生活賃金
企業はすべての従業員の生活賃金を達成するために、戦略またはロードマップを定義するものとします。
・4.4.9 労働者代表
企業は、労働者または従業員の利益を促進及び擁護するための労働組合の組織が国内法で禁止または妨げられている国において、労働者を代表する代替手段を明示的に推進するものとします。
③従業員の安全・衛生
・4.6.4 危険性の特定
職場で危険性の特定について、リスク評価を定期的に実施しなければなりません。
2-4 エコテックス®レザースタンダード
1) 皮革の原産地
2023年5月31日付けの欧州議会および理事会規則(EU) 2023/1115「森林破壊および森林劣化に関連する特定の商品および製品のEU市場での入手およびEUからの輸出に関する規則(EU) No 995/2010の廃止」に準拠するため、変更が必要となりました。
2) 上記1)に伴う申請書
・1つの質問が適応 (申請書p13 , 7.6.1.1)
― 1. 申請する皮革の原産国を記入してください。
a. 国名:証明書類を添付してください。
b. 該当なし
・1つの質問が追加 (申請書p14 , 7.6.1.4)
― 2. 皮革のトレーサビリティは、購買活動において実施または考慮されていますか?
a. はい、物理的な目印(例:レーザー刻印による番号コード)及び/または信頼できるデータシステム(例:地理的位置情報)により、単一の屠畜場および農場まで遡って追跡が可能ですか?
b. はい、物理的な目印(例:レーザー刻印による番号コード) 及び信頼できるデータシステム(例:地理的位置情報)により、単一の屠畜場及び国まで遡って追跡が可能ですか?
c. はい、物理的な目印(例:レーザー刻印による番号コード)または信頼できるデータシステム(例:地理的位置情報)により、屠畜場グループ、地域または国に遡って追跡が可能ですか?
d. いいえ
2-5 エコテックス®メイドイングリーン
1) 主要基準1の更新
オーガニックコットンを製品認証として、スタンダード 100、レザースタンダードと並んで評価基準1に統合します。
2) 主要基準3の更新
85%規定を削除して簡素化しますが、要求水準は同じとします。製品総重量の5%以上に相当する単一構成部品は、ステップ認証済みの製造施設が供給するものとします。
さらに、主要基準3は湿式紡績工程を含むように拡大されます。湿式紡績工程を検討することが推奨され、2 年間の移行期間を経て義務化されます。このアプローチにより、メイドイングリーンの認証取得企業は、サプライチェーンを新基準の要求事項に途切れなく適合させることができます。
3) スタンダード 100、オーガニックコットン、レザースタンダード及びステップ基準によるメイドイングリーンの新規制
メイドイングリーンラベルを発行できるのは、スタンダード 100、オーガニックコットン、レザースタンダード及びステップの基準を満たした場合のみです。新しく導入された評価基準については、それぞれのエコテックス®製品に適用される新規則の文書をご確認ください。
■本紙「2.認証別の2024年新規制について」は、各認証別にも情報をまとめていますので、ご活用ください。
エコテックス®について
エコテックス®は 30 年以上にわたり、繊維・皮革産業の製造工程を透明かつ持続可能な方法で最適化するため、標準化されたソリューションを提供してきました。ベースとなるのはエコテックス®の科学的原則に基づく思想であり、高品質で安全かつ持続可能な製品を市場に送り出すことに貢献してきました。現在、100を超える国々のメーカー、ブランド、商社など 21,000 社がエコテックス®を利用しています。同時に、世界中の何百万人もの消費者がエコテックス®ラベルが付与された商品を購入するなど、人々の責任ある購買の意思決定を行う際の指針となっています。エコテックス®の認証を受けた製品及びその企業は、オンラインの【エコテックス®バイイングガイド】で確認することができます。
<お問合せ先>
エコテックス® 認証について
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
ライフ アンド ヘルス事業本部 エコテックスⓇ事業部
E-mail : oeko-tex@nissenken.or.jp
エコテックス® PRについて
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター
事業推進室 マーケティンググループ
E-mail : pr-contact@nissenken.or.jp
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