お知らせ

ー ニッセンケンが取り組む試験開発をご紹介します ー
バージンナイロンとリサイクルナイロンの識別技術を検討

2025/08/15

業界NEWS

 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター(以下 ニッセンケン、理事長:安藤 健)では、様々な社会的課題に対応するため、繊維製品に関する試験技術の研究・開発に取り組んでいます。その1つとして、石油資源の使用抑制につながるリサイクルされた合成繊維の判別技術開発を行っています。バージン繊維か、それともリサイクル繊維かが明確になることで、「メーカー」「流通」「消費者」さらに「リサイクル事業者」、それぞれがリサイクル繊維を利用しやすくなります。今回、ポリエステルに次いで多く利用されているナイロンに関する検討内容をご紹介します。

ナイロン繊維の特徴 ― 日本では主に“6”が主流

 ナイロン繊維は、衣料品はもちろん、漁網やカーペットなどにも使用されており、合成繊維のなかでもポリエステルに次いで2番目に多く使用されています。ポリエステル同様に石油由来の繊維であり、ケミカルリサイクルによってリサイクルの割合を増やしていくことが望まれています。
 化学構造の違いで、主に「ナイロン6」と「ナイロン66」と呼ばれるものがあり、特に日本ではナイロン6がよく使用されています。このナイロン6はカプロラクタムの単一モノマーが、ナイロン66はヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の2種類のモノマーが原料です。したがってリサイクルの観点ではナイロン66に比べナイロン6の方が扱いやすく、リサイクル技術がすでに確立されています。

識別には赤外分光法と多変量解析のミックスが有効

 ニッセンケンでは、「ケミカルリサイクルされたナイロン6繊維(以下、リサイクルナイロン)」が、「バージンのナイロン6繊維(以下、バージンナイロン)」と識別できるかどうか検討しました。
 まず、赤外分光法によって得られた赤外吸収スペクトルは図1のとおりで、どちらもナイロン6であることが確認できました。しかしながらバージンナイロンとリサイクルナイロン間の違いは一見認められません。そこで、多変量解析を適用しました。
 多変量解析によって主成分分析を行った結果、図2のスコアプロットを得ることができました。スペクトル上は一見差異が認められなかったリサイクルナイロンとバージンナイロンが、スコアプロット上では識別ができています。つまり、赤外分光法と多変量解析によってリサイクルナイロンが識別できる可能性が見出されたと言えます。

 ただし実際には様々な種類のリサイクルナイロンが存在しており、全てがこのように上手く識別可能かどうかは検討が必要です。他の分析手法と組み合せることによって、より確実な識別ができる可能性もあります。
 ニッセンケンでは引き続き検討を行い、リサイクル繊維を適切に識別できる技術の確立を目指します。

ニッセンケンの思いは循環型社会発展への貢献

 ニッセンケンでは2022年4月からリサイクルPET繊維の判別試験の受注を開始しています。今回紹介したナイロンに関する検討も含め、循環型社会の重要なファクターであるリサイクルを推進するこれらの試験技術は、科学的根拠に基づく客観的かつ簡易な判別方法でもあります。
 より安心してリサイクル繊維を選択できる市場環境となるよう、ニッセンケンは今後もリサイクル合成繊維の判別技術の研究・開発を拡大し、それがひいては循環型社会進展の一助になれればと考えています。どうぞご期待ください。


■ニッセンケンコーポレートサイト内での関連情報へのリンク

 > リサイクルPET繊維の判別試験について

 > リサイクルPET繊維判別試験開発への途

 > AIと化学分析を融合した繊維種識別手法の技術検討

 > ニッセンケン開発の獣毛鑑別試験がJIS 規格に採用


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