「環境配慮」「安全性」「社会的責任」が強く問われる現代。皆さまも取引の際に、化学物質管理体制について確認される機会が増えていませんか。その背景には、各国の法令改正・規制強化が大きく影響していると考えられます。日本では、2022年5月31日の労働安全衛生法関係法令改正により、新たな化学物質管理の制度が導入されていますが、2025年4月1日に施行した最新の改正では主に以下3点改正されました。①表示・通知対象物^※1の追加（対象物質に約700の物質を新規追加）、②保護対象範囲の拡大、③請負人への周知義務（従来は労働者に対してのみだった周知義務が、一人親方や下請け業者等の請負人に対しても課せられる）です。化学物質を扱う職場では、もはや事業の規模にかかわらず「化学物質の管理」が必須な時代になったと言えます。
　こうした中、化学品の安全性に特化した国際認証「エコテックス®エコパスポート」（以下エコパスポート）への注目度が年々高まっています。そこで一般財団法人ニッセンケン品質評価センター（理事長：安藤 健）は、日本、そして世界で関心を集めているエコパスポート認証について、その仕組みや取得メリットなど、概要を分かりやすくご案内します。

エコパスポート認証への関心が世界的に拡大
－認証件数が前年比45%増－

　近年、化学品の安全性やサステナビリティに対する意識の高まりを背景に、化学物質の管理や選定において、より厳格で信頼性のある基準が求められるようになっています。2023/2024年の最新統計によると、世界全体でのエコパスポート認証取得件数は1,828件に達し、前年比45%増という著しい成長を記録しました。この伸びは正に、グローバル市場におけるサステナブル製品の需要拡大や、化学品の透明性を求める消費者・取引先の声を反映しています。

表1　近年におけるエコパスポート認証取得件数推移

エコパスポート認証とは

エコパスポートを取得するメリット

✓EUのREACH付属書XIVおよびXVII、ECHAのSVHC(高懸念物質）候補リスト等を含む、グローバルな化
　学物質規制に対応
✓「スタンダード100」「ステップ」「レザースタンダード」等のエコテックス®認証における前提条件とし
　て認められており、これらの認証取得にかかるコストを削減させることが可能
✓認証化学品は、「OEKO-TEX® Buying Guide」やZDHC Gateway、GoBlu BHiveアプリに掲載可能
✓貴社のニーズに合わせてカスタマイズされた3段階の認証（表2参照）

表2　認証範囲及びZDHC適合性レベル

　エコパスポート認証は、単なる化学物質規制への対応にとどまらず、企業の透明性や信頼性を高め、グローバル市場での競争力を強化する手段として注目されています。サステナブルなものづくりが求められる中で、化学品の選定・管理体制の整備は、今やすべての製造者にとって不可欠な取組みです。ニッセンケンは、アジアで唯一のエコテックス®認証機関として、これからもサプライチェーンのサステナブルな取組みを広くサポートしています。

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